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映画「南極料理人」感想──現実無視のお気楽映画

nankyoku


まったくおもしろくなかった。こういう映画はどういうふうに楽しめばいいのかと真剣に考えている内に終っていた。2時間のあいだ、私はきっとずっと眉に皺を寄せてむずかしい顔をしていた。楽しみにしていた分、落胆も大きい。

舞台は南極基地。しかも昭和基地からさらに千キロも奥地に入ったところ。氷点下54度。そこに赴任する男8人。極限状態における食生活をめぐるお話。なんともおもしろくなりそうなテーマだ。



ここのところ驚愕した話題は「アマゾン川の下にアマゾン川と同じ水量の6000キロの川が流れている」という話。あれには寒気がした。推測ではなくもう事実として確定している。なんちゅうこった。

南極の山頂に位置するロシア観測隊基地の下に、4キロの氷に覆われた巨大な湖があるという話。そこには人類が未知の生物がいるかもしれないとのこと。もうすぐ掘削が到達するらしい。

「地球空洞説」というのがある。地球の中にはもうひとつの世界があるという話で、SFではよく取りあげられてきた。今では一笑にふせられているが、そんなどんでん返しもあるのかも。人間が知っている地球のことって、ほんのすこしでしかない。この先どんなとんでもないことが起きるのか。

というような気持ちのときに見た映画だった。
そういう映画でないのはわかっている。食生活にテーマを絞ったものだ。大事なのはそれだ。
それでも否応なく「南極のすさまじさ」は伝わってくると思っていた。



私の不満は、おかれている状況の緊迫さが伝わってこないことだ。これはまずいだろう。
男8人で閉じ込められた状況。人間関係。日々の食事。その工夫。対立し溶けあい、次第に変化して行く流れ。
描きたいことはわかるけど、あまりに主題のそっち方面に走りすぎて、現実の厳しい環境が等閑(なおざり)にされてないか。

ロケは北海道で行われたらしい。ちょうどそれぐらいの緊張感、いや「ゆるさ」である。
たとえば「知床自然調査員8人の食生活」という知床の山小屋で冬場を過ごす8人の食生活ルポならほどよい。その程度の作品だ。

展開がじつにお気楽。
それは「食生活」と「人間関係」に絞って、「あえてそうした」のかもしれない。
だから、出演している役者のファンには、気楽に愉しく見られて、時にはくすりと笑い、時にはほろりとして、とてもいい映画なのかもしれない。
でもなあ、そうかあ。

Amazonのレビュウを見ておどろいた。75人の内72人が高い評価をしている。
どうやらこれはふつうの日本人にとって、とてもいい映画らしい。それを楽しめない私はハズレモノなのだろう。
でも私は世界的に大ヒットした映画に首を捻るひねくれ者であると同時にテレビの時代劇で涙ぐむほど単細胞でもある。そんな私をくすりともさせないこの映画のほうに問題があると思うのだが……。

むかし、私が紅白歌合戦をまだ見ていた中学生のころ。そこでは紅組白組それぞれの「応援電報」が公開されるのが恒例だった。そして毎年必ずあり、会場が拍手に包まれるのが、「白組がんばれ、遠く南極の地より」という南極越冬隊からの電報だった。一年振りで帰還するときはNHKニュースがトップで伝えた。「宗谷」とか「ふじ」とか船の名を今でも覚えている。それだけの激務であり注目された仕事だった。(いや注目といっても、そういう紅白の時や出発、帰還したときのみ、ではあるのだが。)

当時と今では状況がちがう。越冬隊の食糧事情も比べものならないだろう。地球の裏側のブラジルで紅白歌合戦が生で見られる時代だ。
それでも極寒の南極で、世界と隔てられて1年半暮らすのはたいへんな苦痛だろう。それには触れず、飄々と、ことばはわるいがへらへらと描くのは、あえてそうした「手法」なのかも知れないが、描こうとしなくても伝わってきてしまうのが本物なのではないか。

Amazonの数少ない私と同じ感覚のレビュウをふたつコピーさせてもらい、感想としたい。下線は私が引いた。たったふたりでも同じ感想の人がいて心強い。

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By あたしはカモね
レビュー対象商品: 南極料理人 (DVD)

なにも起こらない2時間超がとても退屈でした。最後まで見続けるにはかなりの忍耐を要しました。
ドラマチックとかハラハラドキドキの真反対の、淡々というかだらだらしたようなという作品もあっていいと思うし、
実際その手の映画のなかにもすごくいいなと感じたものはけっこうありますが、これは私には全く響きませんでした。

主役の堺某がもともと好きでないというのも大きな要因ではあるのですが、観測所で働く男たちの描き方がなんだか皮相的で、いつも暇をもてあましてくだらない悪ふざけに興じてばかりにしか見えず、全然感情移入できませんでした。

そんなことなので”心をこめた料理が過酷な環境に身を置く人間の乾いた心を癒す”みたいなテーマ(があるのかどうか知りませんが・笑)はちっとも伝わってきませんでした。けっこう期待して観たので肩透かしをくいました・・・(泣)




By レエン・コオト レビュー
対象商品: 南極料理人 (DVD)

何がおもしろいんですかね。 典型的なつまらない日本映画を見た気がしました。
何故なのか、コメディタッチというんでしょうか(少しも笑えないんでコメディと言いたくないですけど)、この手の日本の映画には一定の割合でこういう駄作がある。
ここのレビューに高評価が並んでいるのを見ても、こういういい加減な映画が作られる土壌が、日本映画には脈々と受け継がれているということなんですかね。

このどうしようもない、リアリティのなさ。
何故これ見よがしに、一生懸命"食べる"演技をするのだろう。
いや、食事がテーマの映画で、食事のシーンは大切なのは間違いないが、だからこそ、その場場面の演出には心血注ぐ必要があるはず。
その結果が、これか?
わざとらしくて、気持ち悪くて、見ていられなかったです。

あとユーモアのセンスのなさ。
「ここで笑ってください」という場面の連続なわけですが、これがまあひどいもので・・・。

南極という極限の環境にわざわざ基地を作って、入れ代わり立ち代り人が派遣される。
人間の社会のために、そこでしかできないことがあるからそうするんであって、みんな仕事で行ってるんです。
断じて遊びじゃない。この映画は、ディテールをそれなりに取材して再現しているようで、そこに心がない。
想像力が足りないからこうなるんだと思います。

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