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ドドンパとビギン──氷川きよしの黄ばんだふんどし

ビギンとドドンパ──発生の流れ


永や中村さんの中に「ビギンというリズムを意識した感覚があったのはまちがいない」と書いてドドンパを思い出した。


ミュージカル「Begin The Beguine」が大成功し、コール・ポーター作曲のこの曲が世界的にヒットする。それでビギンのリズムも浸透した。1935年だから昭和10年になる。


永六輔の中には、「ビギン」というだけで、甘くせつない響きがあったのだろう。それが「黄昏のビギン」の作詩に結びつく。



ドドンパは日本独自のリズムである。三拍目が三連符なのが特長だ。音譜で説明するとわかりやすいが、書けない。私は書けるがATOKが書けない。どうすればいい。そのうち音楽用ソフトで書いたものを貼りつけよう。いま持っているのはVista非対応なので使えない。

ドドンパのリズムを使ったヒット曲というと渡辺まりの「東京ドドンパ娘」がある。これが昭和36年。あのころそこいら中にドドンパのリズムがあふれた。当時の大スター美空ひばりもドドンパを取りあげている。

が、すぐにすたれた(笑)。あれはほんと、短いブームだった。ダッコチャンやフラフープに似ている。
こどものときに憶えた歌は忘れないものだ。私は今でも「東京ドドンパ娘」が唄える。今度カラオケでやってみよう。



日本が独自のリズムを作りだしたという例を他に知らない。
だから私はドドンパに好意的であり、ずいぶんと斬新なことをしたものだと長年感心していた。


その基本のひとつに「ビギン」があったのだと今回やっとつながった。ドドンパが流行るのは「黄昏のビギン」の2年後になる。

ドドンパの仕掛け人たちは、「いっちょおれたちも独自のリズムを作りだして世界に流行らせようじゃないか」と思ったのだろう。そうしてドドンパを作りだす。それを使った曲を流行らせ、「日本発世界のリズム」を仕掛けた。
残年ながら不発だったが、その意気やよしである。



氷川きよしの黄ばんだふんどし考


昭和36年のブームで終ったドドンパは、他人のふんどしで相撲を取る焼きなおし専門の氷川きよしが採りあげ、近年すこしばかり話題になった。

股旅演歌にズンドコ節から三橋美智也まで他人の黄ばんだふんどし着用が専門の氷川だから、当然ドドンパを採りあげるのは読めていた。


その黄ばんだふんどしに年輩者は見覚えがあるから、なつかしい。好意的だ。私もそれはそれで微苦笑しつつ楽しんでいる。力があるから、彼はなにをやっても水準以上のものに仕上げる。だが、彼にああいう二番煎じばかりやらせているスタッフには疑問を感じる。
氷川きよしにはオリジナルがひとつもないのである。

あれほどの才人に、自分達の宝物に、真っ白なさらのふんどしを着用させたいとは思わないのだろうか。私には理解できない感覚である。



もっとも、それでこそのおばちゃん人気だ。股旅姿の氷川に熱狂するおばちゃんは、そのまま昭和30年代の橋幸夫の「潮来笠」である。
さらには、あたらしい氷川のファンは、あれを他人がすでに着用した黄ばんだふんどしなのだと知らない。新品のさわやかなレモンイエロー(笑)だと思っている。
そういうひとはすなおに氷川を絶讃しているから、それはそれでいい……。いいのか、ほんとに。


氷川は先人の二番煎じで評価を得ている。それはそれで氷川の才能だ。出来上がったものは二番煎じでも上質だ。だが将来氷川が真似される「氷川オリジナル」は未だにないのである。もったいない、あれだけの歌手が。


氷川はいままで、「かつて売れていた商品の再発売」はさんざやってきた。だがいまだに「新商品」の「新発売」は一度もしていないのである。




ブレーンが貧困なのだ。いや現実のブレーンは、「今度はこれでいきましょう」と、次の焼きなおし企劃を見つけてきて、自分のことを優秀なスタッフだと思っているのだろう。実際ヒットして十分に話題になり儲かっているのだから、そう思って自然だ。でもそれでいいのか? 氷川は真似するひとではなく、真似される逸材だ。それだけの才能がある。なんともはやもったいない。



日本独自のドドンパのリズムを産みだした先人と、氷川に過去のヒット曲の猿真似をさせて満足している氷川のブレーンでは、それこそ雲泥の差がある。志がちがう。



ともあれ、momoさんから知った「黄昏のビギン」をきっかけに、ドドンパ発生の時代にまで想いが溯れたのは僥倖だった。

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