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平成ノブシコブシ吉村の「破天荒」について──ことばは時と共に

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 何年か前、初めて平成ノブシコブシの吉村を見た時、彼が「破天荒」と自分を称しているので、これは意味を違えているなと思った。彼が主張するキャラクターとことばの意味が違っていた。

 それはその後、真面目な部分が出た時、さんまやロンブー淳に「おまえ、ぜんぜん破天荒やないやないか」と指摘され、「な、なにを言ってるんですか、ぼくは破天荒です、ほんとに、もうすごい破天荒なんですから」と言って笑いをとっていることからもわかった。同時に、それで笑いが起きているのだから、世間もまたそう思っているのだろうと確認した。

 彼の言う破天荒とは、「とんでもない暴れモノ」とか「常識では理解出来ないすごいヤツ」とかの意味なのだろう。とてもよくわかる。私も中学生の時までそう思っていたから。

 以下、正しい意味を書くが、といってそれはどうでもいいことだ。吉村を否定するのではない。世の中の大半がもうそんな流れらしいし、どうでもいいことである。ただ正しい意味を知っておくことはジャマにはなるまいと思って書いておく。



 出所となる唐の故事由来等は省いて。
 このことばでは「破天」と字面から、天を破ると解釈しがちだ。また「荒れる」があるから、天下一の荒くれ者のようなイメージが生じたのだろう。おそらく誤用はそこから始まった。

 が、そうではない。「破」と「天荒」なのである。「天荒」は地を表している。「それまで天荒という地にはなかったことを初めて「破」ったひと」が「破・天荒」だ。もしもこの「天荒」が、たとえば「小町」という地名であり、「破小町」というおとなしい字面の故事成語だったなら、吉村のような誤用は生じなかったろう。誤用は「天」と「荒」を「破る」という漢字のイメージから生じている。



 今の日本風の例えをする。ある県が20の市や郡から構成されているとする。どこの市や郡からも東大合格者が出ているが、ある郡だけは高校のレベルが低く、今に至るまでただひとりも東大合格者が出ていなかった。なんともレベルの低い郡だ、まるで荒地のようだと、そこは「天荒」と蔑まれて呼ばれている。軽んじられている。

 そのバカ高校の中から、ついに珍しく秀才が現れて、高校創立以来、その郡のすべての高校の中で初めて東大に合格した。荒地の「天荒」から前例にない東大合格者が出た。これが「破天荒」の意味である。

 支那語の由来も、天荒の地から初めて官吏試験(科挙)の合格者が出たことから来ている。「東大合格」を例に取るのは筋に合っている。
 意味は極めて真面目になる。頭のいい優等生のことだ。「荒れる」や「破る」からのイメージの暴れものではない。

 吉村が、破天荒を称していながら、じつは神経質できちんとした性格だとバレ、「おまえちっとも破天荒やない」と言われ、「ちがいますよ、あれはたまたま、ほんとに、ほんとは破天荒なんですから」と言ったりすることが、いかに本義からズレていることか。



 でもまあほんと、どうでもいい話なんだけど。前から気になっていたので書いてみた。
 あ、下の『広辞苑』の中の「未曾有」は「みぞう」と読みます。「みぞゆう」じゃないですよ(笑)。


kojien2

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