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おめでとう旭天鵬、おめでとう太田勝さん──泣いた泣いた泣いた──旗持ちは白鵬!──6年ぶりに日本人力士優勝!!

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 11日目終了時点で稀勢の里が唯一の1敗となり、以下は3敗だったから絶対的有利になった。
 ところがここから混戦になる。5勝4敗だった白鵬が連続して大関陣を破る。稀勢の里は白鵬、ついで栃煌山にも敗れて3敗となった。それでもまだトップだったが……。

 千秋楽。
 稀勢の里、栃煌山、旭天鵬の3敗の三人が有利だが、全員敗れれば4敗の3人を加えて6人での史上初の優勝決定戦になる。
 それはまあさすがに無理だろうが、そういう楽しみで迎えた千秋楽だった。

 ところが、ここで琴欧洲休場の報が伝えられる。3敗の栃煌山は不戦勝。
 これで優勝は3敗力士3人に限られてしまった。
 琴欧洲が出場したとしても優勝は3敗力士だったろうが、これはなんとも盛りあがりに水をさす、残念な休場だった。



 だったらもう旭天鵬が優勝しろと思った。
 モンゴル人力士の草分けであり、とにかくもう最高の力士なのだ。
 すでに帰化していて日本人の「太田勝」さん。大島親方(元大関旭国)の娘婿だ。
 旭国はとんでもなく相撲道に厳しい人。なのにモンゴル人力士に自分の娘を与え、後継者にしたということに、いかに「勝さん」がすばらしいひとかがうかがえる。

 とはいえ「勝さん」は、入門してから、相撲界の異常なしきたりに我慢できず、部屋を脱走してモンゴル大使館に駈けこんだ過去がある。すべてが満点というわけではない。



 私はずっと「力士旭天鵬」が好きだった。体がやわらかく、懐が深い。身長は191センチある。万能なのである。 もしも彼がプロレスラーだったとしても私はファンになっていた。

 ドン・レオ・ジョナサンというプロレスラーがいた。
 天才である。 
 ターザン山本さんが、いちばん好きなレスラーとして名を挙げていた。
 彼は、レスラーのいちばん体調のいい時期を問われ、「デビューの時」と語っていた。
 これはプロレスが「受け身のショー」であり、体を消耗して魅せるというプロレスの真実を語っている。

 私は旭天鵬の相撲に、ドン・レオ・ジョナサンを見た。

 すこしタイプはちがうが、時天空がいる。こちらは例えるなら「前座の鬼 藤原」か。
 こういうひとは、その気になれば永遠に幕内を確保できるのかと、そんな気持ちで見ていた。

 いわゆる幕内のエレベーター力士であるが、長年相撲を見ていると、そういう力士の怖さが見えてくる。



 「無事是名馬」とは、菊池寛の名言だ。正しくは他者のことばの引用なのだが、それはともかく。 
 旭天鵬ほどこれに値するひとはいない。
 そんな彼の経歴で、残念なのは「自動車運転による出場停止」だ。
 大相撲の現役力士は自動車運転を禁止されている。いい規則だと思う。
 なのにそれを旭天鵬は破り、罰則を適用された。強制休場だ。
 大島親方ほどのひとがなぜに甘かったのか疑問だ。
 これがなければ「無事是名馬」で、体が柔らかく、怪我のない旭天鵬は、歴史的な記録を作れていた。しみじみ残念である。

 37歳まで休まず取ってきて(ああ、罰則としての強制休場が悔やまれる)、とうとう今場所で貴乃花の勝ち星をしのぎ、歴代10位まできた。

 いま計算してみたら、出場停止が2007年の夏場所。この時まで連続出場720回。もちろん現役1位だった。「強制休場」後、30場所も休みなし。450日。合計すると1170日連続出場の大記録だ。もったいない。

 旭天鵬の休場数は「22」。15は上記の「罰則による強制休場」。あとの7は、前記の「脱走してモンゴル大使館に駈けこんだ」時である。つまり病気ケガでは一日も休んでいない。



 アメリカ人で最初の親方は高見山。
 モンゴル人で最初の親方は旭天鵬。これはもう決まっている。
 引退したら「大島部屋」を再興する。

 日本人、太田勝さんは、のちのちの「大島親方(元旭天鵬)」の歴史に、「優勝1回」の金文字を刻んだ。



 今日は競馬のオークスがあり、強い酒を飲みたくなった私は、昼からウオトカを飲んでいた。

 競馬はトリガミだったが、ほどよく酔いが回る頃、大相撲のそれとなり、「おめでとう、勝さん」を連呼して、私は大泣きである(笑)。
 よかったね、最高だよ、勝さん。

 そこに、あの大横綱白鵬が、優勝パレードの旗手を務めるというニュース。
 また泣いた。
 すごいよ、これ。

 入門がかなわなかった白鵬をギリギリでひろってくれた恩人は旭鷲山だけど、パイオニアは同期のこのふたり。これはもうエポックメイキングな出来事。ためらわず名乗り出る白鵬も見事。モンゴル人力士の現在の栄誉は、旭天鵬と旭鷲山あってのことだもの。

 今日、モンゴルでのテレビ中継はどうだったろう。白鵬、朝青龍のときとはまたちがった盛りあがりだったろう。



 私からすると、先場所、「大島部屋消滅、旭天鵬無理矢理引退、大島親方就任」になるのではないかと、それがいちばんの心配事だった。「友綱部屋移籍」となり、旭天鵬の現役続行が確認されたのでうれしかった。旭国はそれを望んだが、旭天鵬が現役続行を願ったのだ。
 そのあと、白鵬は彼らを宮城野部屋に入れたかったらしく、だけど宮城野親方(竹葉山)には、それだけの財力がなく、親方と白鵬がギクシャクしたと伝えられた。それは事実だと思う。

 私は、ともあれ40歳幕内を願っている旭天鵬が現役続行となったことにほっとした。
 そして今場所の優勝である。歴史的大横綱白鵬が旗持ちを勤めるのである。 

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 優勝を報告し、最初に水をつけるのは「いまの親方」である友綱(元関脇・魁輝)だ。真ん中。たいしたことのない力士だった魁輝は大関魁皇を育てたことで理事にまでなったが、こういう点でも強運だ。
 さすがに礼儀として「このような力士を預けてもらい(前所属の大島部屋の師匠の)大島親方に深く感謝します」とのコメントがあった。

 それを見守る大島(旭国)。左側。大島部屋最後となる先場所優勝だったらもっとドラマチックなのだが、先場所は逆に初の中日まで全敗というワースト記録なのだった。



 白鵬が負けが込み最低の場所と覚悟したが意外なよろこびの場所となった。今からまたビデオを見て、ウオトカを飲みながら泣こう。
 白鵬優勝を旭天鵬が援護したことがあったが、今回は白鵬が援護したと言えるのかも知れない。楽日に日馬富士に負けたのはいただけないが。横綱となって最低の10勝だった。

 37歳8カ月の優勝は昭和以降最年長だとか。

 あとで気付いたが、稀勢の里、琴奨菊がリードして、栃東以来6年ぶりの日本人力士優勝は決まったかと思われたが、思わぬ伏兵の出現でまた消えたのだった(笑)。そんなことにこだわらない私にはどうでもいいことだが。

 いや、旭天鵬は太田勝という日本人なのだった。だから「6年ぶりの日本人力士優勝!」なのである。

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【追記】──2005年の「旭天鵬の帰化」

 【木屑鈔】にアクセスが多いので何かと思ったら、旭天鵬優勝で、2005年7月に書いた「旭天鵬の帰化」というのにアクセスが集中していた。 
 興味のあるかたは読んでください。一応これで「にわか旭天鵬ファン」ではないことはわかってもらえると思います。

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