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テレビのない生活──DVDのキングオブコメディ

舞台を収録したキングオブコメディのDVDを見ていると、テレビで短く演じたものの原形が観られて興味深い。
しかし冗長にも感じられたりする。これはこちらがテレビの短さに慣れてしまっているからとも言えるが、やりたいことを全部やる舞台には不要な部分が詰め込まれているのも事実だろう。



これは自分も商業文を書いていて感じることだ。
30枚の原稿を規定の10枚に縮めねばならない。無念だ。でも約束事だから削って削って縮める。10枚にする。書きたいことのあれもこれも削除してしまったのが無念でたまらない。

その代わり後々ホームページには取材の裏話も含めた言いたいことすべてを収めた50枚をアップする。満足する。
しかし時が過ぎてから冷静に見ると、10枚が一分のむだもない濃厚なものであるのに対し、50枚は自己満足の気配の強いだらだらしたものに感じたりする。作品として仕上がっているのはあきらかに10枚の方だ。

手書きの作家が、ワープロという機械ができてから、いくらでも長く書けるものだから薄味のやたら長いだけの作品が増えたと嘆いていたがさもあらんと思う。私も、書くだけ書いてあとから縮める方法をとっている。30枚の注文なら好きなだけ書いて、50枚、60枚になったものを縮めてゆく手法だ。これがいま主流だろう。でも北方謙三なんかは、30枚の注文を受けたら、きっちり30枚になるように一発で仕上げるのだそうな。真のプロである。

キンコメのDVDを観る時、テレビではやれない長い原形を見られると楽しみにした。結果はそれほどでもなかった。これもまたそういうこと、とも言えそうだ。



テレビの短いコントでは、問題児の今野をひたすら受けるだけの高橋だが、DVDには「攻める高橋」も収められていた。

そのうちの一篇に「ソフトバンクネタ」がある。高橋が自分のケータイをボーダフォンと言うと今野がソフトバンクと直す。高橋がボーダフォンと言うたびに今野が「ソフトバンクね」と直すものだから、「ボーダフォンだよ、ジェーフォンだよ! しまいにゃ東京デジタルフォンまで出すぞ!」と高橋が怒る。私も今ソフトバンクだが、東京デジタルフォン時代に契約した。J-Phoneだから使ってきた。それがイギリスのVodafoneに身売りして、さらにはソフトバンクになった。いやでいやでたまらない。もうJ-Phoneじゃないんだから替えようと思いつつ踏ん切りがつかずいまだに使っている。まあ私はケータイは一応持っているだけでほとんど使わない。これが日々のマストアイテムだったならとうのむかしに替えていたろう。

しつこくソフトバンクという今野に切れた高橋が「おまえはソンの手下か!」というセリフがある。
こういうちいさな部分に出る向こう側の景色が好きだ。
もしもこのコントを作ったひと(今野か高橋か座付き作家か知らないけど)が在日朝鮮人であり、在日朝鮮人の雄である孫正義を尊敬していたら、このセリフはありえない。あったとしても、「あの、もしかして、ソンさんを尊敬しているの?」とでも丸い味わいにしたろう。「ソンの手下か!」のひとことで、このコントの制作者に朝鮮人はいないと読める。いたりして(笑)。

芸人のライブDVDを見ていると、そういう部分が見えて愉しい。
品川祐のうすっぺらさなどその象徴だ。

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